自噴する湧水、西条市の「うちぬき」
全国各地をブラリと訪ね歩くNHKの人気番組の中で、
「河岸段丘」「断層」「不整合」といった地学用語を、
さらりと口にしては専門家を驚かせる、進行役のタモリ氏。
タモリ氏のお気に入りのひとつが扇状地。
扇のように広がる平野のすそ野では多くの湧水が見られます。
愛媛県西条市にある西条・周桑平野も湧水の多い扇状地です。
ここの湧水は、15~30mの鋼管を打ち込むだけで、
勢い良く噴き出す自噴タイプで、通称は「うちぬき」。
地下にある粘土層の重みで地下水が押し出される仕組みで、
水田や畑の傍らにある噴出口から直接水を取り込むため、
このあたりでは農業用水路をほとんど見かけません。
年間を通じて平均水温14℃の「うちぬき」の水は、
夏は冷たく冬は暖かく、野菜のハウス栽培でも活躍中です。
地元の生活に欠かせない湧水ですが、最近は問題が生じています。
西条市と文部科学省の総合地球環境学研究所との共同で実施した、
「千の水を採って」調査では塩水化が報告されています。
都市化により地下水の質や量が変化したことが原因とのこと。
西条市では地質の専門家や地元の住民たちと力を合わせ、
大切な「うちぬき」を守る保全計画を推進していくそうです。